学生フォーミュラとは
少子化による学生の減少に加え、近年の若者の理科離れといった深刻な状況は、日本の自動車産業にとって将来の国際競争力・企業競争力の低下、優秀な技術者の人材不足につながりかねません。また、最近の工学系大学では、実習や設計・製図などのカリキュラムが減少しており、欧米に比べ、ものづくりの機会が不足しています。
一方、米国では「Formula SAE®」を開催するなど、学生が実際のものづくりを通して自分たちの能力や知識を、発揮できる場を提供されており、産学官の協力のもと、 人材育成の基盤づくりが根付いています。しかし日本では、全国的なものづくりコンテストとして、 ソーラーカー大会やロボットコンテストがありますが、自動車技術分野で活躍を目指す学生にとっては、習得した専門技術を発揮しうる設計コンテストがない状況です。
学生たちが実際にものに接し、ものを創っていくことによって、技術の理解を深め、実践的な能力を養い、より高いレベルに意欲的に取り組んでいく。 ものづくりの本質やそのプロセスを学ぶとともにチーム活動やものづくりの厳しさ、面白さ、喜びを実感できる、そんな環境づくりを通じて、創造性に満ちた技術者の育成を目指しています。
(学生フォーミュラ公式HPより)
競技内容
本審査は、フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを、学生がチームを組んで企画・設計・製作したものを持ち寄り、大会では車の走行性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を競うものです。
マシンの製作にあたって、機械・電気に限らず幅広い実践的な知識を習得するとともに、性能向上・原価低減・商品性向上などにチャレンジします。また、昨今の若手技術者や学生に求められている『自ら問題を発見し、解決していく能力の向上』が期待できるとともに、ものづくりの素晴らしさ・おもしろさを実感し、さらに、メンバー間のチームワークやリーダーシップの発揮が不可欠であり、学生たちがものづくりを通して貴重な経験を得ることになります。
審査は、 車検、静的審査【コスト・プレゼンテーション・デザイン】、動的検査【アクセラレーション・スキッドパッド・オートクロス・エンデュランス・効率】の審査結果、計1000点満点で順位を決定します。安全性、デザイン性、そしてレースには欠かせないスピード。これらトータルで優れたチームが優勝を手にします。
(学生フォーミュラ公式HPより)
審査種目 | 審査概要[ 配点 ] |
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車検 [ 0 ] |
①車両の安全・設計要件の適合、②ドライバーの5秒以内脱出、③ブレーキ試験(4輪ロック)、④騒音試験(所定の条件で排気音110dB以下)、⑤チルトテーブル試験(車両45度傾斜で燃料漏れ無し。ドライバー乗車し車両60度傾斜で転覆しない)
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[静的審査] コスト [ 100 ] |
予算とコストは、生産活動を行うにあたって考慮しなければならない重要な要素であることを参加者に学ばせることが狙い。車両を見ながら事前に提出したコストレポートのコスト精度、チームによる製造度合等を確認し、レポートのコストと車両との適合を審査する。一般に購入品目となる2項目について、部品製造プロセスなどの口頭試問を行い、それらの知識・理解度を評価する。
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[静的審査] プレゼンテーション [ 75 ] |
学生のプレゼンテーション能力を評価することが狙い。プレゼンテーションは、『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行う。
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[静的審査] デザイン(設計) [ 150 ] |
事前に提出した設計資料と車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価する。具体的には、車体および構成部品の設計の適切さ、革新性、加工性、補修性、組立性などについて口頭試問する。
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[動的審査] アクセラレーション [ 100 ] |
0-75m加速。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。ベストタイムを競う。 コース図を見る |
[動的審査] スキッドパッド [ 75 ] |
8の字コースによるコーナリング性能評価。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。タイムを競う。 コース図を見る |
[動的審査] オートクロス [ 125 ] |
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約800mのコースを2周走行する。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。ベストタイムを競う。エンデュランスは、このオートクロスの早いチーム順に走行する。 コース図を見る |
[動的審査] エンデュランス [ 275 ] |
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる周回路を約20km走行する。走行時間によって車の全体性能と信頼性を評価する。 コース図を見る |
効率 [ 100 ] |
エンデュランス走行時の燃料・電力消費量を評価します。 |
合計[ 1000 ] |
学生フォーミュラの歴史
Formula SAE は、ただ授業を受けるだけでは生きた知識が身につかず,優秀なエンジニアが育たないということに危機感を持ったアメリカで 1982 年に第1回が開催された非常に歴史のある大会です。
フォーミュラカーの設計・製作を通じて,学生に仮想の企業を運営させ実践的なものづくりの知識を習得させることを目的とした 『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』 という位置付けにあります。
現在,アメリカでは国内外含め 120 を超えるチームが参加し,年に2回大会が行なわれるようになり,イギリス,オーストラリア,ドイツ,イタリア,ブラジルなどでも同じルールで行なわれる国際的な大会となっています。
日本は後発ではありますが,この大会先進国のマシンを参考にして,そのマシンに追いついてやろう、追い越してやろうと頑張っています。
これからの学生フォーミュラ
また、現在、日本のフォーミュラ大会のレベルは年々凄い速さで向上しており,来年度大会では更なるレベルの上昇が見られることでしょう。
全日本学生フォーミュラ大会はまだまだ,躍進の可能性を秘めています。応援よろしくお願いします。