岐阜大学邦楽部

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筝(お琴)
 「心の琴線に触れる」という言葉にもあるように、張り詰めた琴の糸を一本だけ爪弾いただけでも、その音色は聞いている者の感情を大きく揺さぶります。ましてや、激しい琴の演奏ともなると、聴衆の心を掻き毟らんばかりに圧倒的な迫力で音が迫ってきます。まさに琴は、東洋のピアノと呼ぶに相応しい楽器ではないでしょうか。もちろん音量ではピアノに及びませんが、表現力ではピアノを凌駕するような奏法や技巧も多々開発されています。琴のための楽曲を中心に音楽性の豊かな名曲が、古典から現在に至るまで数多く作られて、現在も、まさに天才と呼ぶべき作曲家や名演奏家を世の中に輩出し続けています。
 江戸時代以後の地唄や筝曲では、今でもよく見かけるような13絃のお琴が使われました。また現代邦楽などでは、その他に低音用の17絃のお琴などが加わります。邦楽部の琴部門では、これらの楽器を練習しています。一般的なお琴の絃は、遠いほうから手前に向かって一の絃、二の絃、・・・と呼んでいき、十の絃の次は斗(ト)の絃、為(イ)の絃、一番手前が巾(キン)の絃と呼びます。お琴の楽譜は、この絃の番号や符号を使って記されます。
 部員のほとんどは大学に入ってから琴を始めた者ばかりですが、すぐに色々な曲を演奏できるようになりますよ。 
尺八
 尺八の音色と言えば、幽霊やお化けのBGMに使われるようなブォーと鳴る音(ムラ息)を想像してしまう人も多いでしょう。でも実際の尺八の音色はとても多彩で豊かです。尺八の音色が聞き分けられるようになると、島田紳助氏が司会する人気番組や某有名住宅メーカーのCMなどを始めとして、テレビのBGMで使われるフルートかと思っていた綺麗で斬新なメロディの音色も、実は尺八だったことに気が付いたりして驚くことも多くなるでしょう。
 尺八では、聴き取れないほどのとても微弱な音から部屋中に響き渡る音まで、音量を自在に調整できます。さらには、12律以外の中間的な音程(微分音)さえも自由に鳴らすことができます。そのため、甘さと冷たさ、厳しさと暖かさ、優しさと力強さ、爽やかさと妖しさ、軽快さと重厚さなどを変幻自在に切り替えることができ、とても豊かな表現力を持っています。
 尺八は江戸期に禅宗の一派と結びついて、精神性が高くて高度な技法を伴う、世界に誇るべき抽象音楽を発展させてきました。また、他の和楽器との合奏や声楽の伴奏を通じて、尺八アンサンブルに特有の奏法を発達させてきました。これらの尺八音楽や奏法に対する伝統的なイメージはかなり強烈なために、尺八奏者と言えば日本人の男性に限られると思い込んでいる人も多いことでしょう。しかし近年は、日本文化への関心の高まりと共に、特に欧米諸国を中心として古典尺八音楽を演奏する尺八愛好家が増え、有資格の伝承者はもちろん、有名なプロ奏者も登場してます。
 また、現代の尺八は西洋のクラシック音楽やモダン・ミュージックの理論・記譜法・奏法を積極的に取り入れると共に、楽器の性能面からも、音色の透明化と音量の増大、明快な音階を求めて各種の改良がなされ、演奏ジャンルや一般楽器との合奏の機会も大きく広がっています。そのため近年は、バンドやギターと演奏する若手のプロ奏者が現れたり、女性にも一般演奏家が増えて尺八部員の半数近くが女性という大学サークルも、もはや珍しくはなくなるなど、一昔前とは大きく違ってボーダーレスでジェンダーフリーな楽器として一般にも認知されつつあります。
 尺八は、音を鳴らすのが難しいと一般には思われているかも知れません。しかし実際には、数十分ほどあれば誰でも鳴るようになります。もちろん良い音色の音を出すには時間や工夫が必要ですが、それは他の一般的な洋楽の管楽器でも同様で、尺八だけが特に難しいというわけではありません。
 通常用いられるタイプの尺八の手孔は5つしかありません。手孔を全て塞いだ時の音を「ロ」の音と呼びます。また、一つずつ順番に下の手孔を開けていった音が「ツ」「レ」「チ」で、最後が「ハ」です。これを鳴らして得られる音階は、ジャズ、ブルース、ロックン・ロールやその影響を受けたポップスなどで多用されるペンタトニック・スケールと一致します。
 尺八では3オクターブ近くの音域で全ての音階が出せますが、それも主にこの5種類の指使いのバリエーションが基本となります。尺八の楽譜は「ロツレチハ」の5文字のカタカナを主に使って記されますが、指使いはとても単純なのでリコーダーなどよりもはるかに覚えやすく、音さえ鳴るようになれば複雑な曲でもあまり苦になりません。しばらくめまいに耐えて練習し音も安定して鳴るようになれば、もう安心。始めて見た楽譜でも、いきなり簡単に演奏できたりしますよ。
三絃(三味線)
 最近は、津軽三味線の吉田兄弟や木乃下真市氏らの迫力ある演奏や、沖縄の三線の情緒豊かな音色に憧れて、三味線を習い始める人が増えているようです。それだけでなく地唄や長唄などの音曲に登場する三味線では、「艶(ツヤ)っぽさ」や「粋(イキ)」といった、西洋音楽にはない和楽特有の雰囲気を醸し出します。弦楽器に打楽器的な要素をも兼ね備えた三味線は、まさに日本で独特の発展を遂げた世界に誇るべき楽器の一つと言えるでしょう。
 三味線は棹(サオ)の部分にギターのようなフレットが無いので、正しく音程を取るのが結構大変かも知れません。でも、三味線の楽譜は、棹のどこを押えるかとか奏法とかの情報が記号化して書かれているため、馴染みやすくなっています。それに加えて楽譜の横には、音や奏法を「チン・トン・シャン」などの言い方で表現できる「口三味線(クチジャミセン)」なるものが書かれており、これを覚えれば暗譜でも弾けるように工夫されています。初心者でも小一時間ほどで、小粋な音色を奏でながら三味線を弾けるようになります。

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